株式会社オハラ様
IFS Applications導入事例
株式会社オハラ様は1935年の創業以来、光学ガラスのパイオニアとしてカメラ産業の発展や、半導体製造装置、宇宙天文分野など先端光学技術の革新に貢献されています。
2000年問題をきっかけに導入した旧ERPパッケージは、光学ガラスの複雑な生産プロセスに対応するため、内製開発でカスタマイズを繰り返して機能拡張を行ってきました。
しかし、ITの技術革新に伴いOSバージョンアップの課題が生じていること、また拠点のグローバル化や将来の事業環境の変化も見据える中、連結経営管理の強化に向けてERPパッケージの刷新を決定、製造業向けの豊富な標準機能を実装し、海外での導入実績も多い「IFS Applications」(以下、IFS)の導入を選択されました。
フルカスタマイズからノンカスタマイズへ ~導入背景
企画財務センター 企画管理部
次長 兼 管理課長 副参事
高井 俊彦 様
—IFSを導入される前のご状況を教えてください。
2000年問題が話題になったころ、その対応のために旧ERPパッケージを導入しました。
光学ガラスの製造では、その性質から非常に特殊で細かな項目を管理する必要があります。そのため、旧ERPシステムはフルカスタマイズで業務に合わせたシステムを育て上げていました。
保守や改修など、情報システム課で内製対応をしていましたが、すでにベンダーのサポートも終了しており、今後のOSバージョンアップに対応することも難しくなったため、今回のERPパッケージの刷新が必要となりました。
—IFS導入の決め手を教えてください。
他のERPパッケージと比較・検討を行いましたが、IFSに決めた一番の理由は、世界のプロセス製造業に数多く採用されており、当社が扱う光学ガラス製造のような、複雑な生産工程にも適応できるERPパッケージであったことです。
また、機能が豊富で柔軟性が高く、この先10年、20年の事業環境の変化に適応できるERPパッケージであることも、決めての一つとなりました。
その他にも、画面デザインや操作性はもちろん、当社はアジア・アメリカ・ドイツなど、世界に拠点があるため、多言語対応が可能(50カ国以上、約20言語の導入実績)でグローバルに展開できること、またベンダーであるキーウェアは、IFSの導入経験も豊富で最新のノウハウを持たれており、新たな価値を協創するに相応しい、信頼できるパートナーであったことから、IFS導入を決断しました。
豊富な標準機能で欲しいシステムを実現 ~導入してみてわかったこと
—IFSの魅力を教えてください。
魅力は、製造業向けの豊富な標準機能があることです。それらの標準機能を利用することで、複雑な生産管理にも対応することができました。
IFS導入が決まったときから、『IFSを着こなそう』をコンセプトに掲げ、まず、IFSの機能に合わせて業務の整理を行いました。IFSは多くの製造業で利用されているので、そのプロセスに合わせることで標準化に向けた業務改革を進めることもできました。
とはいえ、特殊な製造管理が多い光学ガラス製造の業務ゆえ、 IFSでは管理しきれない項目は追加開発が必要となります。
そういった特殊な管理項目(例えば屈折率、透過率などの性能を測定し、その結果から利用できる材料に番号を発行する性能合否判定のようなもの)は外部アドオンで開発を行いました。
IFSには、標準機能で豊富なAPIが準備されており、それらを活用することで今回のような外部アドオンとの連携ができることも魅力でした。
経営管理基盤図
—今回の導入を振り返って、良かったことはありますか。
企画財務センター 企画管理部
情報システム課長補佐 主幹
御手洗 睦 様
ダッシュボード機能である「IFSロビー」は導入前から使いたいと思っていた機能でした。
実際、当社では「IFSロビー」を利用し、5万点ほどある製品の品目をキーとして、品目マスタ情報・受注情報・在庫状況など15種類ほどの情報を一元的に表示し、各部門でいつでも確認できるようになりました。
また、IFS導入後は「クイックレポート」機能を利用し、各部署が自分たちで必要な情報を抽出できるようになったこともよかったです。以前は情報システム課で、それぞれの部署が必要としている情報を抽出して各部署に提供していましたが、現在はデータ抽出をしていた時間を他の業務に充てることができています。
その他に、経営分析に必要な情報をまとめた時系列データなどもクイックレポート機能で作成しています。
クイックレポートでは過去の実績集計データを複合的に抽出することができるため、売上や生産状況の変化を可視化するなど、BIツールのような使い方もしています。
このようにIFSには豊富な機能が準備されていて、さまざまな業務を効率化できています。機能が豊富過ぎて使い方に迷った時にはキーウェアに支援をお願いしています。
キーウェアはIFSに限らずERPに関する知識や知見が多く、また、プロジェクト活動の初期段階から、当社の複雑な業務内容を深く理解して頂けたことで、実現したい機能の一歩先のニーズを汲み取ってくれました。
機能の活用方法についてはもちろんのこと、業務プロセスを見直すべきかシステムで対応すべきか、その現実的な解決策をアドバイス頂けたことで、IFSを最大限に着こなした、新たな管理システムを構築することができました。
当社は光学ガラス、キーウェアはシステム開発、それぞれ扱う「モノ」は違いますが、モノづくりに対するこだわりを持った両社が、システムを導入する側と支援する側の垣根を越え、まさに一蓮托生、こだわりを持ってシステム刷新に取り組んだことで、約3年にわたる大きなプロジェクトを成功に導くことができたと思います。
今後の展望
—今後の展望についてお聞かせください。
現在は香港拠点への導入を終え、台湾拠点への展開を計画しています。
更に国内外各拠点へIFSの導入展開を進めて、グローバルサプライチェーンの仕組みを整えていくことで、グループ全体の調達・生産・販売機能の資産効率を高めつつ、経営スピードの向上を実現していきたいと考えています。
—どうもありがとうございました。
担当技術者からのコメント
オハラ様はもともと旧ERPシステムの保守や改修を内製対応し、特殊な業務に対応できるシステムを育て上げられておりました。
そのことから、今回もIFS導入後、オハラ様の内部で開発やメンテナンスができ、必要とする機能を好きなように拡張できる外部アドオンで対応することをご提案しました。
例えば、ガラスの生産時に温度や気圧、光の強さなどを測定、データのサンプリングを行い、レポート化したデータをもとに出荷判定を行うなどの工程も、外部アドオンによってボタン一つで実行・管理することが可能になりました。
特に、温度が変化しても伸縮しない特殊なガラスの出荷判定は、他の製造業と比較しても大変細かな数値管理が必要となります。その数値をIFS内で管理することは難しいので、外部アドオンで対応し、システムが表示できる限りの有効桁数をフルに利用することで高精度なガラス製造への対応も可能にしました。
細かな数値管理やシステムと測定機器との連携のために、機器の制御方法を工夫したり、時には試行錯誤したりと難しい部分もありましたが、御手洗様や現場の皆様と密に連携を取りながら、二人三脚で開発を進めることができました。
ちょうどコロナ禍に開発期間が被ったこともあり、オハラ様のもとに直接お伺いして作業することが難しい時期もありましたが、現場の皆様とはチャットツールを活用してコミュニケーションを取り、まるで隣にいるようにリアルタイムでレスポンスをお返ししながら、プロジェクトを進めることができたと思います。
カスタマイズを外部アドオンで行うことにより、今後IFSのバージョンアップが必要になった際にも、光学ガラス製造の特殊な設定を引き継ぐことが可能になっていますし、御手洗様をはじめとする情報システム課の皆様が、日々のメンテナンスやシステム改修が行えるシステムにすることができたと思います。
キーウェアソリューションズ株式会社
IT基盤構築本部
シニアエキスパート 車 健一郎
お客様プロフィール
株式会社オハラ
所在地:〒252-5286
神奈川県相模原市中央区小山1丁目15番30号
資本金:58億5千5百万円
従業員数:478名(2022年11月1日現在)
事業内容:光及びエレクトロニクス事業機器向けガラス素材の製造・販売
URL:https://www.ohara-inc.co.jp/