キーウェアソリューションズ株式会社

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東北大学 大学院生命科学研究科 近藤研究室様
2時間で調査測定記録アプリを作成!フィールドワークや研究の促進に貢献

Platio導入事例

日本の高等教育政策を直接担い、世界最高水準の研究を追求・発信している東北大学。
東北大学 大学院生命科学研究科の近藤教授は生態系の予測・制御・設計を可能にする新しい分野の研究を目指し、環境DNA(※1)を用いた生物多様性の観測調査に力を入れています。

これまで環境DNAの観測調査の際に専用の調査票に記入していた観測情報を、Platioで作成したアプリに入力することで、観測調査の手間や、結果分析のためのデータ入力・分析作業の効率化に成功しました。

(※1)「環境DNA」とは、水中、土壌中、空気中などあらゆる環境で存在し生息する生物由来のDNA の総称です。日本全国の研究機関や市民ボランティアと連携して、各地で採水した水試料に含まれる環境DNAを調べることで、日本沿岸の生物多様性を明らかにする調査を進めています。

環境DNA調査に関する研究調査~背景~

東北大学 大学院生命科学研究科
近藤 倫生 教授

—Platio利用前の調査方法を教えてください。

まず、調査に必要なキットと、紙の調査票、マニュアルを調査協力者の方のもとに郵送します。協力者の方はそれらを持参して、調査現場に出向き、水の採取と調査票の記入を行います。採取した水試料と調査票は、研究機関へ返送します。それらを人の手でデータ化し、分析調査に利用していました。

—調査にあたって困っていたことや課題はありましたか。

紙の調査票を利用していたため、データ入力の作業に人手と時間がかかったり、記入ミスなどによりデータの精度が落ちてしまったりといった問題も多く、デジタル化ができたらという課題はありました。しかし、ITに詳しいメンバーや専門知識を持っている人がいなかったため、なかなか検討が進みにくい状態でした。

『Platio』を利用してみてわかったこと

—Platioを利用して、効率化したところや便利になったところは?

第一に、記録されたデータを調査・分析に使用するにあたり、これまでは紙に記入して報告された情報をデータ化するため、1件ごとにパソコンでの入力作業を行っていましたが、その作業が不要になりました。以前は2.5時間かけて100件分の入力を行っていましたが、その工数がなくなり効率はとても上がりました。

さらに、記入ミスも減りましたね。例えば、今回は位置情報の記録に、GPS機能を利用しました。Platioを利用する前は経度緯度の桁数が多い情報を手で記入していたため、記入ミスが発生し、せっかくの調査データが利用できなくなることもありました。収集したデータ全体の20%程度が不正入力による是正対応が必要でしたが、そちらもゼロにすることができています。

また、現地調査では調査する方自身のDNAが混ざってしまわないよう、手袋をして作業をしていただきますが、紙に記入するたびに手袋を着脱していたり、水試料の現場で調査票が濡れてしまったりということが、調査者の負担になっていたようです。そこがスマホひとつで記録が可能になったので、負担も減ったのではないでしょうか。

—Platioの魅力を教えてください。

現地調査でも簡単に操作できるように、入力方式やスマホアプリ特有の機能である位置情報取得などの項目を活用し、より簡単に結果入力ができるようになりました。
以前は調査票が郵送で届かないと、どの程度調査が完了しているのかが確認できませんでしたが、管理画面でデータの入力状況を見て、進捗状況も逐一確認できるようになったこともよかったですね。

また、Platioはネットワークが届かない地域でも記録ができることが魅力ですね。今回は「山の人×科学者」で環境DNA山岳域モニタリングプロジェクト(※2)として共同調査も実施しましたが、山間部の電波が届かない場所での調査にも利用することができました。

今回は、もともと使っていた紙の調査票の項目をもとに、キーウェアが土台となるアプリを作成してくれました。さらに自らアプリ作成画面を操作して、使いやすいように修正していきました。直感的な操作が可能なので、2時間ほど触っているうちに使いたいアプリに改良することができました。

副次的ではありますが、記録用アプリを活用するようになったので、調査票の紙削減にも繋がっています。環境にも配慮できて一石二鳥ですね。

(※2) 「山の人×科学者」環境DNA山岳域モニタリングプロジェクト  
     (東北大学のウェブサイトへ移動します)

今後の展望

—今回の調査以外にPlatioを利用できそうなシーンはありますか。

今回の環境DNA調査研究は、データが多ければ多いほど精度も上がりますので、大量の調査を可能にするためにPlatioを活用できたことは大きいです。Platioはアプリの操作性も高く、小学生からご高齢の協力者の方まで、老若男女が簡単に利用できるデジタルツールなので、調査のハードルを下げ、より多くの方のご協力に繋げられる要素になります。
このようなアプリを利用することで、フィールドワークの促進に一役買うのではないでしょうか。

環境DNAもそうですが、より多くの実地データを必要とする研究はたくさんあると思います。さまざまな形で利用できるPlatioは広く活用できるのではないでしょうか。

—どうもありがとうございました。

担当技術者からのコメント

実際に使用されていた調査票を参考にして、その設問が漏れないよう注意しながらアプリを作成しました。近藤先生との数回の打ち合わせで内容をブラッシュアップしていきましたが、その際に設問の用途・意図を確認した上で、最適な入力フィールドの選定、設問自体の削除・追加をしていきました。
Platioには、豊富なテンプレートが用意されており、通常、皆さんがPlatioを利用される際には用途に合わせてテンプレートを選択し利用されることが多いと思います。今回の環境DNA調査アプリは、テンプレートがなかったため、カメラや位置情報取得などのスマホアプリ特有の機能を最大限に活かしたベースを作成し、調査が効率的に行えるようご支援しました。ベース部分の作成後は、近藤先生ご自身で自由に項目を設定・修正していただき、使いやすいアプリに近づけていただいたと思います。

プロフィール

東北大学 大学院生命科学研究科 近藤研究室様

所在地:〒980-8577
宮城県仙台市青葉区片平二丁目1-1

近藤 倫生 教授 プロフィール
(東北大学 大学院生命科学科のウェブサイトへ移動します)

Platioについては こちら をご覧ください。

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